布団という結界の中で
目覚まし時計が鳴り響く前の、薄暗くて静かな時間。 冬の朝は、布団の中の温もりがあまりにも心地よくて、外の世界へ出るのが本当に億劫になりますよね。
「あと5分だけ」と二度寝をして、気づけば家を出るギリギリの時間。 慌ただしく支度をして、駅まで走りながら「なんでまた、余裕を持って起きられなかったんだろう」と自己嫌悪に陥る。 そんな朝を繰り返している方も、少なくないのではないでしょうか。
特に1月は、「今年こそは早起きして朝活をするぞ」「丁寧な朝食を作るぞ」と高い目標を掲げがちな時期でもあります。 だからこそ、理想通りにいかない現実の自分に対して、いつも以上に厳しい目を向けてしまいがちです。 でも、朝がつらいのは、あなたが怠けているからではありません。 単に、冬という季節がそうさせているだけなのです。
冬は「静」の季節だから
日照時間が短く、気温が低い冬は、生き物にとって活動量を落とすべき「休息」の季節です。 動物たちが冬眠するように、人間の身体もまた、寒さから身を守るためにエネルギーを温存しようとするモードに入っています。
私が普段、人生の流れを見るために用いている「七命図(しちめいず)」という視点でも、1月はまだ「静(せい)」の気が満ちている時期だと捉えます。 夜明け前のように、静けさの中でじっとエネルギーを蓄える時間。 そんな時期に、夏の朝のような軽やかさで飛び起きようとすること自体が、実は自然のリズムに逆らっているとも言えるのです。
身体は「休みたい、温まりたい」と言っているのに、頭だけで「動かなければ」と命令する。 このチグハグさが、朝の辛さや、得体の知れない重だるさを生んでいます。 だからまずは、「起きられないのは、身体が正常に冬を感じている証拠だ」と、自分を認めてあげてください。
「最低限」を決めておく安心感
とはいえ、社会生活を送る以上、ずっと布団に入っているわけにもいきません。 そこでおすすめしたいのが、「これさえやればOK」という最低限のルーティンを決めておくことです。
高い目標は、春になるまでクローゼットにしまっておきましょう。 1月の朝は、以下の3つのうち、どれか一つでもできれば「大成功」としてみませんか。
1. カーテンを10センチだけ開ける
窓を全開にして換気をするのは、寒すぎて辛いかもしれません。 だから、起きたらまず、カーテンを少しだけ開けて、外の光を部屋に入れる。 それだけで、脳内の体内時計はリセットされ、「朝が来た」ことを認識し始めます。 曇り空でも構いません。空を見るだけで、心は少し外の世界へと開かれます。
2. コップ一杯の白湯を飲む
冷え切った内臓を、内側から温めてあげること。 電気ケトルでお湯を沸かし、少し冷ましてからゆっくりと飲む。 その温かさが胃に落ちていく感覚を味わうだけで、強張っていた身体が内側から緩んでいきます。 「丁寧な朝食」が作れなくても、この一杯があれば、身体へのケアは十分です。
3. 好きな香りを嗅ぐ
コーヒーの香りでも、お気に入りのハンドクリームでも構いません。 嗅覚は、脳にダイレクトに届く感覚です。 「いい匂いだな」と感じる一瞬があれば、気分のスイッチは自然と切り替わります。 布団の中でハンドクリームを塗るだけでも、立派な「起床の儀式」になります。
自分を許すことから、一日は始まる
1月の朝に必要なのは、気合や根性ではなく、「自分への優しさ」です。 「今日も寒いのによく起きたね」 「布団から出ただけで偉いよ」 そんな風に、自分自身に温かい言葉をかけてあげてください。
理想の朝を過ごせなくても、今日という一日の価値は下がりません。 むしろ、自分の身体の声を聞き、無理をさせなかったあなたは、とても賢明な判断をしたと言えます。
少しずつ日が長くなり、春の気配を感じるようになれば、自然と目覚めも良くなっていきます。 それまでは、冬ならではの「重み」のある朝を、ゆっくりと味わってみてもいいのではないでしょうか。
さあ、今日もぼちぼちいきましょう。 温かい飲み物でも淹れて、あなたのペースで一日を始めてくださいね。
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